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バイクパッキングの装備と積載について〜フロント編

#ギア紹介#バッグ紹介#パッキングのコツ#パッキング例

今回から実践的なバイクパッキングについて解説していこう。
バイクパッキングを始めるに当たり、ほとんどの人にとって最初の課題となるのは必要な装備と積載する内容、そしてその方法だろう。装備の積載は大きく分けてフロント(ハンドルバー周辺とフロントフォーク)、フレーム(前三角内やトップチューブ)、リア(サドルやシートチューブ周辺)の3箇所。その中でもフロントの積載はハンドルとその延長線上にあるフロントフォークに装着するため、自転車の操作性に大きく影響してくるので特に重要なのである。

フロントバッグの積載内容

比較的スペースに余裕があり、運搬中も目視で状況確認できるフロント部分にはついつい多めに積載したくなるもの。しかし先に触れた通り過度な荷重は当然ハンドル操作に悪影響を及ぼす。そもそもキャリアレスなバイクパッキングはパニアバッグの様に低重心では無いので(そのため悪路の走破性が高いのだが)重量配分に工夫が必要不可欠なのだ。これらを踏まえフロントバッグの積載内容を考えると、嵩張るが比較的軽量な寝具類が最も適しているだろう。キャンプ地に到着して設営をする際もこれらが一まとまりになっている方が何かと都合が良い。
それではその具体的な内容だが、季節によって異なるものの画像にある①シュラフ②ヴィヴィ(シュラフカバー)、③エアマット④タイベックシート、気温が低くなる冬期と標高の高い場所や河原などでは⑤インナーシュラフもあると心強い。更に寝心地を追求するのであれば、⑥軽く薄手のマット(画像はEVERNEW FP mat 100)をエアマットの下に敷けば完璧だ。これらをフロントバッグへ直接入れても良いが、⑦スタッフサックにまとめれば雨天時に内容物が濡れる心配も無くなるしバッグへの出し入れも容易になる。
フロントバッグにADCANATHA Nomad Packを使用する場合は前方にZpacks Multi Packも連結可能なので、⑨レインウエア⑩レイヤリング用の防寒着等の直ぐに取り出したいものを入れておくと便利。

フロントバッグに収納する寝具類

Zpacks Multi Pack本体と収納するレインウエアや防寒着

フロントフォークにはケージを使って片側に着替え等の衣類、反対側にはシェルターやバスタブ、タープ、ガイライン等をスタッフサック(画像はZpacks Slim Dry Bag)に収納して装着する。スタッフサック毎で用途別にまとめるのがキモである。

フロントフォークへの積載例

Nomad Packのパッキング

ここからはADCANATHA Nomad Packを使ったパッキング例を紹介しよう。
このバッグの最大の特徴は、開口部がフロントロール式なので収納する量に合わせて前後に伸縮する点である。最もポピュラーなサイドロール式の場合、グラベルロードの様なドロップハンドルだと荷物を出し入れする際に一旦バッグをハンドルから外さなければならない。次に最近増えつつあるトップ方向に出し入れするタイプだが、ハンドルにライトやサイコン等があると装着の障害となるし縦方向への延長は限界があるのでバッグ本体のサイズがある程度固定されてしまう。つまり伸縮性が無いのだ。

荷物積載時(この状態でまだ若干余裕あり)

荷物未積載時(フレーム代わりにZiplockコンテナ長方形1900mlを収納/後述)

まあ能書はこれくらいにして実際に荷物をパッキングしてみよう。最初に⑥以外を⑦のスタッフサック(ビニール袋で代用する事も可能)にまとめてからフロントバッグに入れる。先に触れた通り雨天時での安心感が違う(Nomad PackのDCF Hybrid ver.は防水仕様ではあるが)だけでなく、荷物をバラバラのまま直接入れてみれば分かるがロールして縮めて行く際に若干コツが要るのだ。画像のスタッフサックはNomad Pack専用に開発したDCF製のもので、コンプレッション機能もあり非常に使いやすい。以下は収納した状態を正面→側面→上面から見た画像。

スタッフサック正面ロール部分

スタッフサック側面ストリングバックルとコンプレッション用コード

上面

専用スタッフサックはNomad Pack用にサイズが最適化されているが、他のスタッフサックやビニール袋等を使用する場合はバッグの開口部より少しだけ小さくなる様に気をつけよう

スタッフサックの正面をフロントバッグの奥へ向けて入れ、次に⑥のマットの端をスタッフサック上下に差し込んで横から見ると『コ』の字になる様にする。注意すべき点はスタッフサックのコードを後で引っ張れる様に出しておくこと。こうしておくと取り出す時非常にスムーズだ。

スタッフサックの正面を奥側へ向けて入れているのでバッグの取り出し口からはスタッフサックのお尻が見える

マットの端を下から差し込む

もう片側の端を今度は上側へ差し込むと左横から見た時にマットが『コ』の字になる(スタッフサックのコードは両サイドから逃す)

コンプレッション用のコードはスタッフサックを取り出す際にも役にたつ

荷物を入れ終わったらフロントをロールして行くが、その際に画像のタックをキチンとたたむと整形が出やすい。開口部からの浸水を防ぐため最低3回は折りたたむこと。

両サイドのストリングバックルと上下のストラップを止めれば本体のパッキングは完成。どちらもしっかりとテンションをかければ荷物はかなり安定する。

荷物未収納時の工夫

Nomad PackはUL(ウルトラライト)のバックパックではポピュラーな素材であるDCF HybridやX-Packを使用しており、特にDCF Hybridは使い込むとクタッとして整形が出にくくなる。これはULハイクを実践されている方ならば周知の事で、このクタリ感を味として魅力に感じる向きも多いだろう。だが普段の街乗り等でバッグが空の時にだらりとするのが気になるといった場合にはフレーム代わりにZiplockコンテナ長方形1900mlの使用をお推めしたい。

画像の様にコンテナを2個重ねて入れておけば整形が出る。何故2個かというとちょっとした買い物時に便利だから。

細かいものを入れる場合は2段にして使用。

荷物が大きい場合はコンテナの蓋を外して突き合わせれば容積が稼げる。

Zpacks Multi packでパッキングを拡張

Nomad Packの特徴としてZpacks Multi Packを連結した拡張性も挙げておきたい。
今回はレインウエアとレイヤリングの収納として紹介したが、それだけに拘らずツーリングの用途に合わせ各自で選択すれば良い。またサンダル等の薄手の物ならNomad Packの間に挟む事も可能だ。キャンプ地に到着したらショルダーバッグやウエストバッグとして買い出し等でも役に立ってくれるだろう。

バイクパッキングのフロントバッグで1番重要なのは?

最後に未舗装路を走るバイクパッキング、それも操縦性に大きく関わるフロントバッグで最も重要な機能とは何だろうか?収納性や拡張性も勿論だが、それは荷物を安定してホールド出来る事である。Nomad Packに荷物を満載し、更にZpacks Multi Packで拡張した状態で林道をダウンヒルする動画をご確認いただきたい。

この記事の著者

88-N

自転車でより遠くへ行きたいという願望からキャンプを始め、やがてアウトドアアクティビティーと複合した遊びへと発展。それが当時まだ上陸したばかりのバイクパッキングと知り、乏しい情報に試行錯誤しながら自分のスタイルを追求。より自転車とアウトドアに特化したツールの必要性を痛感し、バイクパッキングブランドADCANATHAを立ち上げる。

“バイクパッキングの装備と積載について〜フロント編” への1件のコメント

  1. […] バイクパッキングの実践について、フロント編、フレーム編に続き最終章としてリアへの積載について考察しよう。一般的にはサドル下〜シートポスト後側がメインとなり、ごく稀にシートステイやシートチューブ後側のスペースを利用しているのも見かける。ただシートステイは取り付けられるものが細長い形状のものに限られるし、シートチューブ後側のスペースはフレームやタイヤサイズによってかなりバラつきがあるためオマケ程度に考えておいた方が良いだろう。 […]

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